レトロ建築

初心者向け【明治村】見るべきおすすめ建築7選!

【明治村について】

愛知県犬山市にある野外博物館「博物館 明治村」。

その名の通り明治期を中心に、大正・昭和初期に建設された64の建造物、そして日本の文明開化・産業発展を支えた鉄道、工場機械が展示されています。

どの展示物も素晴らしく、すべてじっくり味わって見ていただきたいのですが…、明治村の敷地面積は100万㎡と、東京ディズニーリゾート全体の敷地面積とほぼ同じ。1日で回るのはとても大変です。

そのため、今回はおすすめの建造物をご紹介したいと思います!

【目次】

おすすめ建築7選
  • 聖ヨハネ教会堂 |アーチと植物のモチーフ、復原されたステンドグラス
  • 長崎居留地二十五番館 |明治の施工技法で復原、入鹿池を望む平屋
  • 芝川又右衛門邸 |スパニッシュ風の外装、和洋折衷の個性的な内装
  • 本郷喜之床 |明治後期の理容店、漫画『ゴールデンカムイ』に登場
  • 小泉八雲避暑の家 |2025年後期の朝ドラモデル・小泉八雲を訪ねる
  • 聖ザビエル天主堂 |青空に映える白亜の教会、色鮮やかなステンドグラス
  • 帝国ホテル中央玄関 |水平・垂直のライト建築、石材を活かした幾何学模様

 

聖ヨハネ教会堂

建設年明治40年(1907)
村内所在地1丁目6番地
旧所在地京都市下京区河原町通五条
設計者アメリカ人宣教師・建築士のJ・M・ガーディナー
構造木造煉瓦造2階建て 銅板葺き
特徴外観は、中世ロマネスク様式をもとに、ゴシック様式を取り入れたデザイン。建物正面の左右に塔が建ち、建物奥には十字形の大屋根がかかる。

建物入口には煉瓦積みの柱の上に尖塔アーチが立ち、その上部の欄間には植物のモチーフがデザインされている。

2階公会の内部は、屋根と同様に十字形。天井部は、屋根の構造が見える「小屋裏あらわし」となっている。柱と梁をつなぐ方杖は特徴的なアーチ形。

聖ヨハネ教会堂は、プロテスタント一派の日本聖公会の教会堂です。

教会堂内部のステンドグラスは、昭和9年(1934)の室戸台風で破損しましたが、平成10~11年に復元されました。

聖ヨハネ教会堂は、明治村内を順路通り進んでいくと森の中から突然姿を現し、まるで、映画『美女と野獣』のお城のような存在感があります。

写真:noco-office
写真:noco-office

 

 

長崎居留地二十五番館

建設年明治22年(1889)
村内所在地3丁目31番地
旧所在地長崎県長崎市南山手町
設計者
構造木造平屋建て
特徴

本館は、部屋と部屋の間に中央廊下が通り、建物の3方向をベランダで囲んだ造りをしている。これは、西洋人が東南アジアに建てた典型的な植民地住宅の造り。

本館主屋は全面、本館下屋・別館には屋根面の周囲に「目地漆喰」という瓦の継ぎ目に漆喰を盛り上げて塗る技法が用いられている。

建物内の扉は、木の木目を塗装で描く「木目塗り」が用いられている。また、暖炉の木枠は漆で仕上げ。

創建時は、三菱長崎造船所マネージャーのスコットランド人・コルダーが住んでいました。

別館は、大きな窓がついた、幅の広い廊下が部屋の前面に設けられ、外部の光をたくさん取り込めるようになっています。窓からは入鹿池を望むことができます。これは建物があった居留地が長崎湾を望む立地だったことから、同じような景観になるよう明治村が移築地に選ばれました。

写真:noco-office
写真:noco-office
写真:noco-office
写真:noco-office
写真:noco-office
写真:noco-office

 

 

芝川又右衛門邸

建設年明治44年(1911)
村内所在地3丁目68番地
旧所在地兵庫県西宮市上甲東園
設計者武田五一
構造木造2階建て スペイン瓦葺き
特徴

外観は、赤いスペイン瓦の屋根。外壁上部は白い漆喰が塗られ、外壁下部は内部の金色の壁にある渦巻状のデザインと合わせた仕上げとなっている。

ベランダの幅が広くとられていて、解放感がある。ベランダを支える柱は煉瓦、石を積んで高くし、ベランダ下はトンネル状になっている。

内部の玄関ホールや階段室には、金色の渦巻状のデザインが壁に施されいている。その壁は訪れた人の印象に残るほどきらびやか。

また、1階の洋室の天井や袖壁には、日本の数寄屋造りのデザインに見られる網代や葦簀が張られている。2階和室の襖内に暖炉が設置されていたりと、洋の中に和、和の中に洋が取り入れられている。

芝川又右衛門は、大阪の唐物商(欧米品輸入商)で、大日本持丸長者鑑に名を連ねた豪商。この建物は芝川の別荘です。

創建当初のデザインは、改築のたびに変更されていきました。

そのため、明治村への移築・再築にあたり、当初杉皮張りだった外壁は、改築後のドイツ風の壁を、ベランダは改築してガラス戸がついていた状態から当初の吹きさらしに戻すなど、武田五一の「作品集」に載っているデザインに復原することが目指されました。

写真:noco-office

写真:noco-office
写真:noco-office
写真:noco-office

 

 

本郷喜之床

建設年明治末年(1910)頃
村内所在地4丁目47番地
旧所在地東京都文京区本郷
設計者
構造木造2階建て
特徴

明治後期から大正初期の商家の造り。

1階の建物正面をガラス張りとしたデザインは、当時としては斬新だった。

「喜之床」は、この店の屋号です。
2階の2部屋は、詩人の石川啄木が間借りしていたこともありました。
店内には、手動のリクライニングチェアや鏡が設置され、当時の理容店の様子を伺えます。古い建物を改修した店舗を訪れたことがある方もいらっしゃると思いますが、当時の人々の生活の中にあった「店舗」の姿(家具含め)を、当時のまま見られる貴重な建物だと思います。

こちらのお店は、漫画『ゴールデンカムイ(野田サトル作)』で理容店のモデルとして登場しています。

写真:noco-office
写真:noco-office

 

 

小泉八雲避暑の家

建設年明治初年(1868)頃
村内所在地4丁目48番地
旧所在地静岡県焼津市城之腰
設計者
構造木造2階建て
特徴1階に通り土間がある典型的な町屋の造り。

2025年後期、朝の連続テレビ小説のモデル・小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが、東京帝国大学で教鞭をとっていた頃、夏の避暑地として過ごした静岡県焼津市の町屋。ここは、魚屋の山口乙吉の家でもありました。八雲は、焼津を題材とした小説も書いています。

現在は1階部分で駄菓子やラムネなどが販売されています。

写真:noco-office

 

 

聖ザビエル天主堂

建設年明治23年(1890)
村内所在地5丁目51番地
旧所在地京都市中京区河原町三条
設計者フランス人在日宣教師・パピノ神父
構造木造煉瓦造(現在、煉瓦壁は鉄筋コンクリート壁)
特徴

建物正面にあるバラ窓と側面にあるステンドグラスは、内部から見ると色鮮やかで写真スポットとしても人気。

内部は、柱やリブにケヤキ材が使われ、重厚感があり、厳かな雰囲気に。天井は交差リブ・ヴォールト天井で、4本の柱で囲われた範囲を1つの区画として、さらにその区画を4分割する四分ヴォールトという技法が使われている。

16世紀に来日したフランシスコ・ザビエルを記念して建てられたカトリック教会。 設計は在日宣教師のパピノ神父が担当し、施工は信者であり、大阪で大工の棟梁をしていた横田彦左衛門が担ったと伝わっています。

建物は、もともと煉瓦で造られていましたが、現在外壁は漆喰に「目地」と呼ばれるラインを施して、煉瓦に見えるようにしてます。

撮影時は曇天でしたが、晴天の際には白亜の建物が空の色に映え、とても美しいと思います。

写真:noco-office
写真:noco-office
写真:noco-office

 

 

帝国ホテル中央玄関

建設年大正12年(1923)
村内所在地5丁目67番地
旧所在地東京都千代田区内幸町
設計者アメリカ人建築家 フランク・ロイド・ライト
構造レンガ型枠鉄筋コンクリート造木造併用(現在は、鉄骨鉄筋コンクリート造+鉄骨造混交造)
特徴

帝国ホテルの正面玄関・メインロビー・車寄せ・建物前面の池が明治村に移築された。

建物内外ともに大谷石とスクラッチレンガが多く使用され、それらの石材に幾何学模様が施されている。メインロビーの柱には建物外部にも施された大谷石の彫刻をし、内部に照明を入れた「光の籠柱」がある。

ライトは、ホテルで使用される家具や食器などもデザインしていて、そのうち、背もたれが六角形になっているピーコックチェアや幾何学模様を取り入れた照明などが設置されている。

帝国ホテルが大工事の末、竣工披露式をしたのは、大正12年(1923)の関東大震災の日でした。周囲の建物が倒壊炎上するなか、ホテルの被害は少なかったそうです。

日本の多くの建築家に影響を与えたライト建築を、ぜひ実際に見ていただきたいです。

写真:noco-office
写真:noco-office
写真:noco-office

 

おわりに

ご紹介した建造物は、数あるなかの7棟ですが、どれも見ごたえのある建物です。

明治村へ行くとき、見学の予定を立てるとき、実際に建物を見るとき、

このおすすめを活用してもらえたら、とても嬉しいです。

 

 

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